医療機器治験の実際について – 一般社団法人 日本医療機器産業連合会

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            2018年5月21日
(一社)日本医療機器産業連合会
臨床評価委員会* 

医療機器治験の実際について

 2018年4月よりTBSテレビにて「ブラックぺアン」というドラマが放映されています。ホームページによると、当ドラマは痛快な医療エンターテインメントドラマとして制作されているものですが、現実と大きくかけ離れた描写があり、誤解を生じる可能性がある場面が散見されることから、医療機器開発に携わる業界として、医療機器治験の実際等について、少し説明させていただきます。

 当ドラマの中では、未承認医療機器の治験(承認申請を前提に実施する臨床試験を治験といいます)が題材として取り上げられています。

 治験は、厚生労働省に治験届を提出した上で、「医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP省令)」に従って実施しなければなりません。GCP省令で特に強く求められていることとしては、治験に参加いただく患者さん(以下被験者さん)の保護があります。

 治験は、医師や治験コーディネーター(以下CRC)等から十分な説明が行われ、被験者さんが理解された上での自由意志による同意に基づいて成り立つものです。       

 従いまして、ドラマの中で見られたように、本人の同意が得られていない状態で治験として未承認の医療機器が使用されることはありませんし、あってはなりません。また多額の負担軽減費を支払うような行為等、参加意志の決定に影響を及ぼすような物品による誘引や、その他社会的地位を利用した圧力による行為等は、被験者さんに対する「社会的弱者の保護」という観点からもあってはならない重大な問題であると考えられます。

 なお、負担軽減費とは通院のための交通費程度の費用として7,000円程度とされており、ドラマの中で示された300万円という金額が被験者さんに渡されるようなことはあり得ません。

 また、前述のとおり、治験機器は、非臨床試験等により有効性及び安全性が確認された上で、厚労省への届出が必要で、設計変更された場合も同様の手続きが必要です。したがって、治験機器が、手術中に医師の判断で設計変更されることはありえません。

 当ドラマはあくまでもフィクションとして制作されているものですので、細かな点について意見を述べる意図はございません。しかしながら、現実の世界では大変な病と闘いながら新しい薬や医療機器の治験を受けるかどうか、真剣に悩まれている患者さんや、今まさに治験を受けられている被験者さんもおられます。

 我々は、その方たちがこのドラマを見て、医師やCRC、また治験に対しても、疑念や不信感を抱かれる可能性があるのではないかと懸念しましたので、上述のように気になる点について、現実に行われている事を説明させていただきました。

 なお、一般社団法人 日本臨床薬理学会より当ドラマに対して見解書が提出されております。CRCの役割等についての学会からの見解はそちらをご覧ください。 URLは、つぎのとおりです。

https://www.jscpt.jp/press/2018/180507press_release.html

 医療機器の治験は、専門的知識に基づき、被験者さんのために真摯に取り組まれているCRCの方々をはじめ、医師、医療関係者の働きの上に成り立っているものであることを申し添えます。

以上

*臨床評価委員会は、(一社)日本医療機器産業連合会 の中で、治験や臨床研究等に係る種々の課題について取り組み活動している委員会です。これまでにも例えば「同意撤回後の被験者保護」というテーマに取り組み、治験を依頼する企業へ向けて「 医療機器治験の同意撤回に関するガイダンス」を作成し、ホームページでの公表を行っております。当委員会は、今後も引き続き、関係者の皆さまのご意見、ご協力を頂きながら、このような活動を継続して参ります。