新年のご挨拶

一般社団法人日本医療機器産業連合会
会長 中尾 浩治

 

 新年あけましておめでとうございます。本年も当連合会の活動にご支援、ご協力頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。

 最近、海外から帰国すると日本の元気の無さを感じます。先進国に限らず中国やインド、シンガポールなど主要都市の活気と比べても、かつて世界有数の大都市と謳われた東京も今やその勢いは感じられず、明らかに日本の地盤沈下が始まっていることを実感させられます。日本には少子高齢化と言う経験したことのないサイレントクライシスが忍び寄っています。この危機を乗り越える鍵は、誤解を恐れずに言えば、スイス化です。自然に恵まれた観光資産でさえ、何十年も手をかけてその魅力を維持し続ける一方、世界的な製薬や化学企業、金融、研究開発型の企業や国際機関の誘致などを進めてきました。しっかりとした長期の観点を持ち、我慢しながらしかし積極的な投資を行って来た結果が今の同国をつくりあげたと言っても過言ではありません。少子高齢化の波を生き抜き、次の世代へと引き継いで行くには、高付加価値経済と文化・自然をベースにした観光が鍵ではないでしょうか。

 高付加価値経済を支える一つの要素はイノベーションであり、我々医療機器産業にとっては生命線です。私はイノベーションを、「現場にインパクトのある新しい価値を持続的に届けること」と定義づけています。毎日のように新聞等でイノベーションの文字を目にしますが、幾度言葉を唱えても何も起きません。実践することが大事なのです。ご存知のように、Biodesignを取り入れた医療機器開発プログラムを一昨年より三大学に導入しました。現在は第二期生が頑張っていますが、第一期生の中にはその成果を起業家として取り組んでいきたいという方々が出てきました。嬉しい限りです。

 我々医療機器産業にとってもサイレントクライシスは重要な課題であると同時に成長機会でもあります。その機会を生かすには一歩でも二歩でも踏み出すことなしには何も始まりません。是非、皆様と一緒に、本年をチャレンジの年としてイノベーションをベースに世界の保健医療に、より一層貢献して行きたいと思います。

 新年を迎え、業界としての今後の取り組みについて述べたいと思います。

1.医療保険制度改革への対応
 (1)イノベーションの評価に向けて、価値に見合った機能区分制度、機器の安全確保に対する貢献や在宅
     医療機器の改良、対外診断薬等の評価について提案を行っていく。
 (2)費用対効果評価については、試行的導入結果を踏まえた慎重な検討を求める。
 (3)市場拡大再算定は医療機器の特性から導入にはかなり無理があり、十分な理解を求める。
 (4)毎年改定については反対姿勢を崩さず、継続して主張を行っていく。

2.法改正への価値付け
 医薬品医療機器法施行後約2年が経過したが、治験の要否水準の見直しや一変不要範囲の拡大、QMS調査など運用面での課題はまだ残っている。法改正による価値を最大限引き出すために、引続き行政と連携して早期解決をめざす。

3.コンプライアンスの徹底
 我々医療機器業界は、高い倫理観と事業活動の透明性・公正性が求められており、引き続き、21団体に対してコンプライアンスの徹底を図る。

4.諸外国の規制への対応
 国際的な規制緩和に向けて、引き続き厚生労働省、PMDA、関係省庁と連携して各国との交渉を進めていく。

5.国際連携の強化
 海外の医療機器関係団体とのMOU締結を進め、グローバルでの連携強化を図る。

6.医療ICTの活用に向けた取り組み
 IoT、ビッグデータ、AIの医療への利活用に向け、関係省庁や医療関係者等のステークホルダーと連携した検討体制の構築を進める。

7.UDI利活用の推進
 産業界主導で立ち上げた「医療製品識別とトレーサビリティ推進協議会」を通じ、医療機関での利活用の阻害要因や課題を明らかにし、現場ニーズに見合ったモデルを創出する。

8.臨床研究法の合理的運用
 本法律は国民の臨床研究に対する信頼確保を目的に実施されるものであるが、医療機器開発を後退させるような運用とならないよう、政省令作成において業界意見を反映させていく。

9.イノベーション人材の育成
 ジャパンバイオデザインへは講師派遣等で継続した支援を行っていく。

10.シンクタンク機能の強化
 政策提言に向けた基盤構築等を目的に発足した「医療機器政策調査研究所(通称、MDPRO)」は、さらなる機能強化を図っていく。


2016年度を迎えるにあたって
年頭所感(平成28年1月4日)
平成27年度を迎えるにあたって
年頭所感(平成27年1月5日)
年頭所感(平成26年1月6日)
就任あいさつ