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第3回
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心臓を動かす電気の力――除細動器・心電計・ベッドサイドモニター
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心臓の電気の動きを見る心電図

――除細動器やAEDを使う判断の元になるのが心電図なのですね。

心室細動の心電図(上)と正常な心電図

そうです。心室細動を起こすと心電図が乱れて、細かく激しい波を描くようになります。除細動器では医師がその波を見て判断し「電気ショック」を与え、AEDでは自動的にその波を測定し、電気ショックを与えるかどうか判断する仕組みになっています。心電図は皆さん健康診断で必ずとられると思いますが、健康を測る大切なバロメーターなのですよ。

 

――心電図を発見した方はどなたなのですか?

正常な心電図

はい。18世紀中ごろから、生体には電気現象が「ある」と知られていましたが、それを心電図として「見る」ことに成功したのは、オランダのアイントーフェンという人で、1903(明治36)年のことでした。心電図は、洞結節で電気が起き心房を伝わって、房室結節、心室へと伝わって静まるまでを「PQRST」で表しますが、これを発見したのもアイントーフェンさんです。それまでは「胸が痛い」とか「脈が不規則」などの症状から心臓の状態を推し量ることしかできなかったのが、心電図を見ることでより確かな心臓の状態を把握できるようになったのです。今では、健康診断はもちろん、さまざまな病気や怪我の治療においてからだの状態を見るために心電図はかかせないものとなっています。

 
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心電図を測る心電計

 

実は人間のからだの中ではいろんなところで電気は発生しています。しかし、一番大きな電気を生み出しているのが心臓の洞結節なので、からだに電極をつけると心臓を流れる電気の様子がわかるのです。もっとも「一番大きい」といっても、わずか1000分の1V(ボルト)ですが。

――家庭用の電池が1.5Vですから…。

心電計

電池1.5Vの約1500分の1の微弱な信号になりますね。電気製品の中で暮らしている私たちにとっては「微弱」とも言える電気の力を測るわけですから、アンプで増幅しないと検出できません。それでアイントーフェンさんが作った機械は300Kg近い大きな機械だったのですよ。日本には1911(明治44)年に輸入され、その後国産の心電計も作られるようになりました。当初は真空管を用いる大きなものでその後トランジスタとなり、また生体のアナログの電流をキャッチした後にデジタルで処理するなどの技術の進化にともない、小型化、高性能化されています。微弱な電気をキャッチする機器ですから、周囲の電気機器などからノイズ(雑音)を拾うことが多く、心電計の開発はノイズとの闘いでした。ノイズを疾病(病気)の表れと間違ってはいけませんから…。また、表示や記録の方法も、紙に記録する方法やモニターに表示する方法など、技術の進歩とともにより便利なものになってきています。デジタル化されたことでデータの解析や処理が可能となり、診断や治療に大きく貢献できるようになりました。

――健康診断では胸にたくさんの電極をつけられました。

両手足に4個、胸に6個の電極をつけたと思います。これは、さまざまな角度から測るためで、一般的な健康診断では12の視点から心電図をとっています。それにより、次のことがわかるのです。
12の視点から測定した心電図(12誘導心電図)1) 心臓の位置や傾き。
2) 心房や心室の肥大。
3) 不整脈の有無。
4) 冠動脈の閉塞や心筋の壊死。
5) 薬剤の影響。
などです。

――健康診断でとる心電図は1種類だと思っていました。

健康診断ではさまざまな角度から心臓を見ています。しかし短い時間の心電図しかとれませんから、患者さんによっては24時間小さな心電計をつけて、1日のうちのどの時間帯やどういう作業のときに心電図が乱れるのかを測ることもあります。その機器は「ホルター心電計」といいます。タバコの箱より小さな心電計ですよ。

――治療の指針となるのが「心電図」で、それを計測するのが「心電計」なのですね。


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