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第9回 PAGE1
呼吸を助け、命を救う――人工呼吸器
2008年7月22日掲載 

息を吸って吐く「呼吸」――私たちは普段は何も意識しないで当たり前のように呼吸をしていますね。しかし、たとえばプールや海で水の中に潜るときなど、息ができない辛さを感じ、「呼吸」を意識することがあります。呼吸とは酸素を体内に取り込むために肺が行う作業。「人工呼吸器」は、疾病などで自力での呼吸が困難な患者さんに外から呼吸を助け、命を救う医療機器です。人工呼吸器の働きや、いつ誕生しどのように進化してきたのかについて、日本医療機器工業会 人工呼吸委員会の方にお話を伺いました。

いき・れん君の画像

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身体にとって大切な酵素

――呼吸が大事ということはわかりますが、人間はどうして呼吸するのでしょうか?

肺のはたらき私たち人間にとって第一のエネルギー源は食べ物です。食べたものが消化され栄養源となって身体中の細胞に届けられたとき、それが酸素によって酸化されエネルギーになるのです。その過程で二酸化炭素が排出されます。酸素を肺から運び込み、二酸化炭素を肺まで運び出す役割を持つのが血液。そして、肺は「呼吸」という作業を行って酸素を外から取り入れ血液に渡し、二酸化炭素を血液から受け取り体外に出すのです。血液は心臓というポンプで全身くまなく送られます。人間は、体内のすみずみの細胞まで、休みなく酸素を送り続けなければ生きていけません。

肺は左右2個ありますが、中はとても小さな部屋(肺胞)に分かれていて、肺胞1つは約100〜200ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)という微細な粒です。よく「ぶどうの房のような」とたとえられますね。気道はのどから23回も枝分かれしていき、ぶどうの房のような小さな肺胞へと空気を送り込んでいます。

 

――肺胞ってそんなに小さいんですか?

そうです。小さいのですが、表面積は成人の肺でテニスコート半面分にもなります。その面積を使って酸素と二酸化炭素を入れ替えているんですね。肺は成人で左右3リットルずつ、合計6リットルの容積がありますが、いつも全部の空気が入れ替わっているわけではなく、1分間に約12回の呼吸で、1回につきに350〜500ミリリットルずつが入れ替わっています。

では、どうやって肺の中に空気を送り込んでいるかご存知ですか?

――え、「口や鼻で空気を吸って」肺に送り込んでいるのではないんですか?

呼吸のしくみ違うんですよ。肺の下にある横隔膜や肺の周りの筋肉が肺を広げると、肺の内部の圧力が身体の外の圧力より低い状態(陰圧)になり、口や鼻から肺へ自然に空気が送り込まれます。胸を膨らますことで、自然に口や鼻から空気が入ってくるのです。私たちは口や鼻で吸い込んでいるように感じていますが、そうではありません。そして、肺が収縮すると自然に口や鼻から息が外に出て行くのです。

――肺がポンプみたいに働いているのですね


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呼吸を助ける人工呼吸器

人工呼吸器ですから、肺そのものは健康なのに、周囲の筋肉が弱ったり、筋肉に指令を出す神経がうまく働かなくなると、肺が動くことができず呼吸ができなくなり、命を落としてしまいます。自分の力で呼吸ができなくなった患者さんの呼吸を助ける医療機器が人工呼吸器なのです。

――人工呼吸器を利用した経験はないのですが、テレビや映画で見たことがあります。マスクをしたり、のどから管を差し込んでいる機器ですよね。

そうですね。液晶モニターには呼吸のリズムなどがグラフになって表示されていますね。今は入院設備のある医院には必ず設置され、また在宅で利用する人もいるなど、広く普及した医療機器ですが、その歴史は意外と浅いのですよ。


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