私たちの暮らしと医療機器 日本医療機器産業連合会スペシャルコンテンツ JFMDA
第10回
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身体の状態を正しく知るために――医用分析装置
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自分で測定し、生活習慣改善の目安に

医用分析装置の中には、ポータブル化されて患者さんが自宅で使用できるものもあります。その1つが血糖自己測定器です。糖尿病の患者さんが医療を受けながら、日常生活の中での血糖値の変化を把握しコントロールするためのものです。

――糖尿病って、そんなに国をあげて予防しなければいけないほど、コワイ病気なのですか?

そうなんですよ。ブドウ糖は私たちの生命を維持するためのエネルギー源なのですが、細胞にブドウ糖が取り込まれず血液中のブドウ糖の量が過剰となる病気を糖尿病と言います。細胞に糖を取り込むときに働くのがインスリンというホルモンです。インスリンがほとんど分泌されず血糖値が高くなる「I型」の糖尿病と、糖分の過剰な採り過ぎや肥満のためにインスリンの働きが悪くなり血糖値が高くなる「II型」の糖尿病があります。

いずれにしても高血糖の状態を放っておくと、血行障害が起こり、目の網膜に栄養を送っている毛細血管が障害を起こし失明したり、腎臓の毛細血管が詰まって、尿毒症や腎不全を引き起こしたり、壊疽(えそ)のため足を切断しなければならなくなるなど、コワイ合併症を引き起こします。
血糖値が上がるわけ

――それは、コワいですね。

痛みもなく静かに進むので、自覚症状が出る頃にはかなり進行している点がとてもコワイのですよ。糖尿病はずい分昔から恐れられていた病気で、光源氏のモデルと言われる藤原道長も糖尿病で亡くなったとも言われています。1922年にインスリンが発見されインスリン療法が実施されるまでは、「死に至る恐ろしい病気」だったのです。

糖尿病と診断され、自己測定が必要と判断された方には、医師の指導により血糖自己測定器を導入して、朝起きたときや、薬を飲んだ後、食事をした後などの血糖値を測定することで、生活習慣の改善を促すことができるのです。インスリン投与が必要なほど糖尿病が進行した人でも、ご自身の血糖値を把握して食事の仕方や運動など生活習慣を改善したことで、インスリン投与が不要になった方もいます。定期的にインスリン注射を行っている方が、インスリンが効きすぎて低血糖になるのを防ぐためにも血糖自己測定器で常に血糖状態を把握することが大切です。


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バイオセンサーで血糖値を測る

――これも、色の濃度を見る方法で測定しているのですか?

血糖自己測定器には試薬の色の濃度を見る「比色法」を用いたものもありますし、「電極法」を用いたものもあります。電極法のものは血液を採取する器具(採血穿刺器具)と、ブドウ糖を測る機器(自己検査用グルコース測定器)とで計測します。採血穿刺器具に新しい針をセットし、よく消毒した指先にあててボタンを押すだけで少ない痛みで少量の血液を出すことができます。それを、グルコース測定器のセンサー部分にあてると、数秒後に血糖値が表示されます。針は、血液による感染を防ぐために、再びセットできないようになっています。
自宅で血糖値を測定

――電気の力を利用するのですか?

そうです。血液中のブドウ糖(グルコース)に反応する酵素を加えると、グルコースが酸化してグルコン酸になり、そのときに電子が放出されて試薬中の「メディエーター」という物質の電荷が変化を起こします。数秒経って電圧をかけると、電流が発生しメディエーターが元に戻り、その電流の量に比例したブドウ糖の量もわかるという仕組みです。
電極法での血糖値測定のしくみ

――化学のような、物理のようなお話ですね。

はい、このような生体由来の機能を利用するセンサーを「バイオセンサー」と呼びます。現在では、インスリンを投与して厳密な血糖コントロールを実施して糖尿病の進行を防ぐ方法ではなく、血糖自己測定器を使って血糖値を把握しながら快適な生活を送るという方法へと医療の方針が変わってきています。

アジア人は、欧米人よりも糖尿病になりやすい体質なので、これからアジアで糖尿病患者が増えていくと警告されているのですよ。血糖自己測定器を利用される方が増えないほうがいいのですが、利用される方の負担がより少なくなるように、微量の血液で判定できるようにしたり、操作を簡単にするなどの工夫を医療機器メーカーも行っています。

最近では24時間ずっと血糖値のモニタリングができる装置や、インスリン注入のポンプと連動して自動で適量のインスリン投与ができるものなどの開発も進んでいます。


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