私たちの暮らしと医療機器 日本医療機器産業連合会スペシャルコンテンツ
第10回 PAGE1
身体の状態を正しく知るために――医用分析装置
2008年10月20日掲載 

平成20年4月から通称「メタボリック健診」という特定健診が義務付けられて、ボクの周囲でも、対象となる40歳以上の人はあわてふためいている。「痩せているからメタボじゃない」と言い切れないらしく、ちゃんと特定健診を受けて、腹囲や血圧や血糖値などさまざまな指標の数値が「健康」の範囲内かどうかを調べなければいけないそうだ。その数値を計測し分析する機器が医用分析装置。今回は数多くある医用分析装置の中でも、医院に設置されている生化学自動分析装置と、家庭で利用される血糖自己測定器について、話を聞きました。

いき・れん君の画像

←INDEX 1 2 3

まず「自分の身体の状態を知ること」が大切

――今、国民の関心も高い「メタボ健診」では、どういう結果になったら「メタボ」になると決められているんですか?

内臓脂肪型肥満により高脂血症・高血圧・糖尿病などの疾患が起きている状態をメタボリックシンドロームと呼びます。メタボリックシンドロームは動脈硬化を引き起こし、それが心筋梗塞、狭心症、脳梗塞など循環器病の原因になります。日本人の三大死因、がん、心臓病、脳卒中のうち、心臓病と脳卒中は循環器病です。

特定健診では、下の図の通り、既往症の調査や自覚症状、身長・体重・腹囲の他、血液検査や尿検査などを行います。その結果、おヘソの高さのお腹の周囲が、男性85cm以上、女性90cm以上で、血糖値や中性脂肪などの計測値が2つ以上基準を超えているとメタボリックシンドロームであると判断され、保健指導が行われます。腹囲が基準値以内であっても、その他の指標で基準値を超えるものがあるとリスクを抱えていると診断され、レベルに応じた保健指導が行われます。
メタボリック健診(特定健診)の検査項目

不規則な生活習慣のために肥満になる人が増えており、肥満の人のほとんどが体脂肪が多いとか血糖値が高いなど、糖尿病、高血圧、高脂血症にかかりやすい原因を複数抱えています。疾病を引き起こす前に健診を行い、生活習慣を変えることで、生活習慣病にかからないようにしようというわけです。そのためにも、まず「自分の身体の状態を知ること」が大切です。

 

――この健診には生化学自動分析装置が欠かせないと聞きました。

メタボ健診の、上の図の赤文字で書かれたGOT、GPTなどの8項目は、生化学自動分析装置で数値を計測しています。血液を遠心分離機にかけて、上澄みである「血清」を分離し、そこにさまざまな試薬を入れて反応させた後、色の変化を見て含有量を測定するのです。大きな装置では、メタボ健診の8項目だと、1時間に1,000人もの測定を行うことができます。

戦後しばらくまで、この作業は手作業で行っていたのですが、日本では1960年代に自動で分析する装置が開発され、短時間に多くの検査を行うことができるようになりました。

生化学自動分析装置――色の変化を見るのですか?

そうです。血液は身体中を循環していますが、体内で異常が生じると、血液中の糖やたんぱく質、酵素などの濃度が変化します。たとえば、すい臓から分泌されるインスリンが不足したり働きが悪くなったりして、ブドウ糖を処理しきれなくなると、血液中の糖分が高くなり、血糖値が上がるのです。こうした成分の分析は、計測したい成分に反応する試薬を血清中に入れ、一定時間反応させた後に色の変化の度合いを見ることでその成分の量を測ることができます。

色の変化の度合いを「吸光度(きゅうこうど)」と呼ぶのですが、特定の物質が特定の波長の光を吸収する度合いを測るのです。「液体中の物質の濃度と吸光度は比例する」というランベルト・ベールの法則に基づいています。たとえばブドウ糖(グルコース)と反応して赤く発色する試薬を血清の中に入れると、含まれるブドウ糖の量だけ赤くなります。赤い色が薄いと量が少なく、濃いと量が多いのです。さまざまな指標を計測するための試薬があり、たとえばメタボ健診のために採取された血液は、8つの血清に小分けされて、それぞれの試薬を加えられ、それぞれの色の濃度の変化を測定しています。
吸光度で分析


↑ページトップ
縁の下の力持ちとして活躍

生化学自動分析装置が生まれた頃は、ある時点での色の変化しか見ることができなかったのですが、日本で開発された技術により、色の変化の推移を継続して見ることができるようになりました。その精度の高さから日本の機器が世界中で採用されています。

検査は実際に患者さんの血液を採取しないとできないものですが、微量でも正確な数字が計測できるように精度をあげ、さらに採血を少なくすることや、早く検出して、健診の後にすぐに結果をお知らせできるようにするための技術開発などに取り組んでいます。

――今まで、検査結果の数字に一喜一憂していましたが、その数字を出してくれている検査機器の存在には気付きませんでした。

疾病を早期発見するためにも、治療の方針を決めるためにも、さまざまな指標の数値を計測することが必要です。生化学自動分析装置に限らず、医用分析装置は医療に欠かせない縁の下の力持ちのような存在なのですよ。


↑ページトップ

 ←INDEX 次のページへ→ |1|23

Copyright(C) The Japan Federation of Medical Devices Associations. All Rights Reserved.