21世紀になってから目まぐるしい活躍を見せている機器もあります。「3D-OCT」という眼底を立体的に診る機器です。網膜に光を当て跳ね返ってくる波長により、網膜の12の層の状態を把握します。断面を細かくスライスするようにスキャンしていき、それをつなぎあわせると立体像にすることができます。

――まるで、CTスキャンのようですね。
そうです。原理はエコー(超音波)断層装置に似ています。OCTは各網膜の組織から戻ってきた反射波の時間的遅れを画像に換算しています。魚群探知機もこんな感じですよね。OCTは1990年代から開発が進められてきた機器ですが、技術の進歩によりスキャンのスピードが数十倍となり、3D画像へと合成することが可能となりました。デジタル技術が進んだこともOCTを進歩させた非常に大切な要素です。また、解析速度の高速化などによりさらに精度が上がってきています。
ここに「黄斑浮腫の網膜の断面図」と「黄斑円孔の網膜の断面図」がありますが、一目で疾患があることがわかりますよね。
――もし私がこの画像の患者でしたら、お医者さんの診断と治療方針をすぐに納得できますね。
そうですね。今まで見ることができなかったものが見えること、層の状態(厚み)を定量化して診断の材料にすることができることなどが、3D-OCTのメリットなのですが、患者さんに「インフォームド・コンセント」として、ご自身の目の状態や治療方針をわかっていただくためにも有効ですね。
私たちは、更なるスピードの向上(患者さんの負担を減らすため)、更なる画質の向上(小さな病変も見逃さないように)に取り組んでいます。また、眼底カメラと3D-OCTが一体した機器など、機能別に分かれている機器を複合化して患者さんの検査の回数を減らすことにも取り組んでいます。高齢化により眼の疾病を抱える方が増えていますから、患者さんの負担がより少ない機器を開発するとともに、使いやすい機器を広く普及して疾病の早期発見に役立てていただきたいと思っています。それは、すべての眼科用医療機器の課題ですね。
――ありがとうございました。
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