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第13回 PAGE1
小さな命を救うために――保育器
2009年9月11日掲載 

早産で生まれた500gほどしかない赤ちゃんが無事成長したドキュメンタリー番組を見たことがあります。手のひらにすっぽり収まるほどの小さな赤ちゃんが懸命に生きる様子、その生命力に感動しました。医師や看護師が奮闘するNICU(新生児集中治療室)にずらりと並ぶ保育器はただのベッドではなく、赤ちゃんを優しく包み成長を支えるための医療機器だそうです。今回は、その保育器について商工組合 東京医療機器協会ならびに加盟企業の方にお話を伺いました。

いき・れん君の画像

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小さな赤ちゃんを優しく包む

――テレビ番組で見るまで、保育器のことを知りませんでした。

保育器は、若い方にはなかなか触れる機会のない医療機器でしょうね。生まれたとき保育器に入っていたという方は、大きくなってお母さんにお話を聞いているかもしれませんが…。

保育器にはフードが付いている「定置型保育器」と、フードのないオープンな「開放式保育器」、赤ちゃんの搬送に使用する「運搬用保育器」がありますが、今回は「定置型保育器(以下「保育器」という。)」のご説明をしましょう。

保育器の種類

妊娠してから約40週間、赤ちゃんはお母さんの子宮の中で育ち、ばらつきや幅は多少ありますが、3000g前後の体重で生まれてきます。ところが、40週を待たずに生まれたり、40週まで子宮の中にいても何らかの原因で体重が少なく生まれる赤ちゃんがいます。生まれたとき体重が2500g未満だと赤ちゃんは保育器に入ることがあります(以下、2500g未満の赤ちゃんを「小さな赤ちゃん」という)。体重が少ないと肺や各器官の機能が十分に発達していないので、赤ちゃんの発育を助けるためにお母さんの胎内の環境に近づけてあげる必要があるからです。

――ということは、保育器はお母さんの胎内と同じ環境を作っているのですね。

もちろん、まったく同じ環境にすることはできませんが、さまざまな技術を使って赤ちゃんにとってより良い環境を整えています。実は、出生数は減少しているのに、2500g未満の小さな赤ちゃんの出生数は増加の傾向にあるのです。そして、小さな赤ちゃんの命が助かる率も年々上がっています。日本の新生児死亡率は世界一の低さを誇っています。もちろんそれは、新生児医療の発展や医師や看護師の皆さんの奮闘によるものですが、私たちも保育器の進歩を通じて陰ながら貢献させていただいております。

 


お母さんの胎内の環境に近づけて

――では、小さな赤ちゃんにとって、どんな環境が必要なのですか?

赤ちゃんにとって最適な環境を作るために、保育器は主に4つの機能を持っています。

小さく生まれた赤ちゃんをやさしく育む保育器①保温
これは、一番重要な機能です。体温は、生み出される熱と蒸発や輻射などで失う熱とのバランスによって維持されています。しかし、新生児は成人に比べ体重単位当たりの体表面積が大きく、皮下組織が薄いため、体温を自分で維持することがとても難しいのです。体温を維持するために多くのエネルギーを使うと、成長のために使うべきエネルギーが足りなくなってしまいます。したがって、新生児が最小のエネルギー消費で体温を一定に保つこのができる温度を常に維持してあげることが重要です。

②加湿
蒸発によって体温が奪われていくことを防ぐために、保育器内の湿度を調節します。特に超未熟児や極小未熟児の場合には、出生直後から1週間は80〜90%の高湿度を保つ必要があります。

③感染防止
抵抗力の弱い赤ちゃんにとって気を付けなければいけないのは「感染」です。赤ちゃんに快適な環境(温度・湿度)は細菌にも快適だからです。健康なおとなにとっては大丈夫な空気でも小さな赤ちゃんにとっては大敵で、感染の原因になります。そのため、保育器に入れる空気はフィルターによりろ過して、埃や細菌の進入を防いでいます。

④酸素供給
赤ちゃんに必要な酸素を送り込みます。まだ肺が十分に発達しきらず生まれてきた赤ちゃんには、通常より高い酸素濃度が必要なのです。

――「医療機器」と聞くと「治療をする」「検査をする」という「施す機器」を想像しがちですが、「赤ちゃんを優しく包む」「環境を整える」保育器は「見守る機器」なのですね。


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