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生活の場での療養を支える――在宅医療機器
2009年12月1日掲載 

「自宅で療養したい」「病院から退院して自宅で家族と一緒に暮らしたい」と願う患者さんやご家族の方のニーズに応えて開発された、在宅で使用する医療機器がクローズアップされているそうです。ケアに必要な医療機器が病院内でしか利用できないために長く入院している方も多く、安全でコンパクトな医療機器が家庭でも使えれば、家族と一緒に過ごしたり、社会復帰できるなど、活動範囲が広がるのだと聞きました。そうした患者さんのQOL(生活の質)を上げるための在宅医療の主なものとして、在宅中心静脈栄養法、在宅自己腹膜灌流、在宅酸素療法があるそうですが、それらの療法と医療機器について、日本在宅医療福祉協会とメーカーの方にお聞きしました。

いき・れん君の画像

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消化器系の疾患の方に栄養を補給――在宅中心静脈栄養法(HPN)

――「在宅中心静脈栄養法」って、言葉の通り「家庭にいて、中心静脈という血管から栄養を直接取る方法」だと解釈していいでしょうか?

在宅中心静脈栄養法その通りです。在宅中心静脈栄養法は、原因疾患は問いませんが主に消化器管の疾病などが理由で口から食べ物を取ることができない方に、高カロリー輸液剤を中心静脈から点滴する栄養法です。中心静脈というのは、心臓に一番近い太い上大静脈のことです。流れる血液の量が多いので、その部位に高濃度の栄養剤を注入してもすぐに血液で薄められ、血管への負担も少なくてすみます。

たとえば、腸閉塞で腸を摘出した方や、クローン病という口腔から肛門までのさまざまな消化器管に炎症や潰瘍を起こしている疾患の方は、口から食べ物を取ることが困難なため、中心静脈栄養法で血管から栄養を取ります。以前はずっと病院に入院して、病院の医療機器を使って栄養を取るしかなかったのですが、1985年に在宅中心静脈栄養法が社会保険の適用となり、家庭でも点滴を行うことができるようになりました。

――え、あの点滴のぶら下がったスタンドを家の中でもカラカラと引いて歩くのですか?

そういう形のものは、家庭では扱いにくいですよね。ですから、家庭用のものは小さなポンプを使い、コンパクトなものにしています。電池で駆動しますので、リュックに入れて持ち運びすることも可能で、「栄養を取りながら働くこともできる」と好評です。

手のひらサイズのポンプ――ポンプを使うのですか?

はい、手のひらサイズの小さなポンプを使用します。これには医師の指示による流量が入力されています。患者さんは入院中に「カテーテル」という細いチューブを鎖骨下静脈から体内に挿入し、先ほど話しました中心静脈即ち上大静脈に留置します。このカテーテルから、小さなポンプを使って、高カロリー輸液剤を正確に送り込んでいるのです。

 
在宅で栄養を取ることで、行動的な暮らしが可能に

外出もできます在宅中心静脈栄養法は、消化器障害で栄養が取れない小さなお子さんの栄養法であったり、末期がんの方が家庭で最期の日々を過ごされるための栄養法であったりもします。ですから、お母さんや年配の方でも使いやすいことに心がけて開発しています。

小さくて使いやすいこと、操作を誤ることがないことなど、家庭用ならではの課題があります。たとえば、ポンプが止まったときには、その原因を音声と警報音でお知らせします。また、以前は何種類かの輸液剤を混ぜ合わせる作業が必要でしたが、現在では使用前に簡単に混ぜ合わせることができる高カロリー輸液剤が開発されています。

――家庭用ならではの注意点があるのですね。

そうです。医療機器が家庭でも安全に使えるようにするとともに、地域の診療所が中心となって、訪問による診療・指導や24時間のサポートなどの体制を整えることも重要です。在宅医療というのは、地域と医療機関、医療機器全体で患者さんを支えていく仕組みなのですよ。


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