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第15回 PAGE1
家庭や医療機関で活躍する身近な医療機器――救急絆創膏・医療ガーゼ・脱脂綿
2010年3月1日掲載 

救急絆創膏・ガーゼ・脱脂綿といえば、どこの家庭にも常備されていますね。これらが「医療機器」なのだと聞き、「医療機器というのは、機械や器具のことを指すものだ」と思い込んでいたボクは驚きました。救急絆創膏・ガーゼ・脱脂綿はどんな医療機器なのか?医療の現場や家庭でどのように人々の健康を守っているのか?などについて、社団法人日本衛生材料工業連合会の方にお尋ねしました。

いき・れん君の画像

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手軽に救急処置ができる――救急絆創膏

――救急絆創膏は、いざというときのために、いつもカバンに入れています。ということは、ボクはいつも「医療機器を持ち歩いている」ってことになるんですよね?

そうですね。救急絆創膏は薬事法によって「医薬品」「医薬部外品」「医療機器」の3つの種類に分けられます。中央のパッドには薬剤を含んだものと含まないものとがありますが、「医療機器」に分類されるものは「パッド部分に薬剤を使わず、薬の効果をうたうものではないもの」です。皆さんがご家庭でお使いになる救急絆創膏の多くは、患部を保護することが主な目的で、「医療機器」に分類されます。外箱に小さく「一般医療機器 救急絆創膏」と記されてますよ。

ここでは「医療機器としての救急絆創膏」についてご説明しましょう。いき・れん君は救急絆創膏のことを通称で何と呼びますか?

――そうですね…。「バンドエイド」でしょうか。でも、友人は違う名前で呼んでいました。

「バンドエイド」は救急絆創膏の代名詞のようですが、ある外国企業の会社の商品名なのですよ。実は、救急絆創膏を考え出した人は、後にその企業の副社長を務めた方なのです。慣れない台所仕事でけがの絶えない妻のために、片手でも処置ができるようにと、医療用テープの中央にガーゼをつけたのがきっかけです。1921(大正10)年のことでした。日本では戦後、いくつかのメーカーが相次いで救急絆創膏を製品化しました。それらの会社の商品の販売網により、救急絆創膏の呼び名がいろいろあるのです。

――確かに、手や腕をけがしたときに、片手で薬を塗り、ガーゼを貼り、絆創膏で固定する作業は難しいですね。利き腕がけがをしているとなおさらです。救急絆創膏ならすぐに処置できますね。

日本では年間約37億枚、つまり1人が年30枚程度は使っていますから、今や「救急絆創膏は当たり前の存在」となっていますが、救急絆創膏がなかった頃は1人ではけがの処置ができなかったこともあったでしょうね。

救急絆創膏の構造救急絆創膏の構造は右の図のようにいたってシンプルで、誕生したときからほとんど変わっていませんが、基材の素材や粘着剤の開発により進化を続けており、さまざまなタイプの救急絆創膏が誕生しています。たとえば、水を使う職業に就いている方や主婦の方向けに、水をはじくが透湿性の高い基材のものや、伸縮性に富んでいて関節に貼っても曲げやすいものなどがあります。また、形状もさまざまで、細長い楕円形のものが一番普及していますが、くつずれしたときに使う台形のもの、パッドの大きな幅広のものなどもあります。

 
さまざまな基材、さまざまな形の救急絆創膏
 

――くつずれ防止のために、キズを作る前に貼ることもあります。

そうですね。救急絆創膏に求められる機能には、キズを覆って保護すること、傷口の皮膚を接合することなどがありますが、「キズを作らないため」ということもあるかもしれません。

救急絆創膏の開発は、基材の開発と粘着剤の開発が中心となります。新しい素材が誕生すれば、それが救急絆創膏に利用できないかと検討したり、貼りやすくはがれにくい、また刺激の低い粘着剤の開発に日々取り組んでいます。

 
救急絆創膏に使用されている基材の種類
 
すぐにはがれてしまってはキズの保護になりませんし、かといってはがすときに皮膚の角質をごっそり持っていくようでは困りますよね。角質も一緒にはがされると皮膚が赤く、かゆくなってしまいます。また、通気性を保つために、通気性の高い基材を使ったり、通気性が低い基材には穴を開けたり、粘着剤を泡状にして通気性を高めるなど、さまざまな工夫をしています。1986年の登場とともに急速に普及しているウレタン不織布は、伸縮性が高くしなやかに肌になじみ通気性が高いため、急速に普及しています。「水やバイ菌を通さないが、空気や蒸気は通す」というフィルムを使うことで、皮膚がふやけにくくしたものもあります。
 

さらに、近年では、キズに直接触れるパッドにも工夫が凝らされています。パッド部分に血液をジェル状に固める吸収性高分子を使ったものや、身体からの浸出液を逃さないスポンジ状のパッドを使ったものが開発されています。

 
血液をジェル状に固めるタイプ/浸出液を吸収して、傷口を保護するタイプ
 

――このスポンジ、すごい吸水力ですね!

目の細かい特殊なスポンジを使い、素材そのものが水分を保持します。ここ数年の研究で、「キズを負ったときに出てくる浸出液の中にキズを治す成分が含まれている」ことがわかり、以前のように傷口を乾燥させるのではなく、水で洗った後は自らの浸出液でキズを治す力を引き出すことが大事だと言われるようになったのです。このスポンジは水分を自分の重さの7倍も吸収する力を持ち、浸出液を吸収すると膨らんで傷口にピッタリ密着し、キズをやさしく保護します。このように医学の進歩に伴い、救急絆創膏も新しく生まれ変わっているのです。

――今まで何も考えずに救急絆創膏を選んでいましたが、今度から箱の裏面をよく読んで、ふさわしいものを選ぶようにしたいと思います。


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