会長挨拶Message

就任のご挨拶

一般社団法人
日本医療機器産業連合会

会長山本 章雄

この度、医機連会長を拝命いたしました山本です。私は 2021 年より副会長を務めておりましたが、今回、重責を引き受けることとなり、大変身が引き締まる思いでおります。会員の皆様方のご支援、ご協力を賜り、責務を果たして参りますので、何卒よろしくお願い申し上げます。まずは、前任の三村会長におかれましては、コロナ禍での医療機器の安定供給の確保にむけ、国への働きかけをはじめ、裾野の広がる医療機器業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)にむけ医機連の内外の団体との交流を通じて、産業界をリード頂きましたこと、心より感謝申し上げます。

医機連は、20の会員団体で構成されています。カテーテルなどの医療材料や衛生材料、家庭で利用するコンタクトレンズや補聴器、内視鏡やX線など比較的大型の診断機器から粒子線装置など超大型の治療機器、さらには体外診断薬等を取り扱っており、多種多様の医療機器・医療技術のイノベーションと安定供給を通じて、日本をはじめとして世界に優れた医療機器テクノロジーを提供し、もって国民福祉の向上と医療機器産業の発展に寄与することを目的に、活動を行っております。

●医療機器の安定供給
新型コロナウイルスのパンデミックは国のインフラにおける医療の重要性を改めて認識する機会となりました。医療機器では、人工呼吸器などの需要が急増する中、国際コンテナ物流の混乱や半導体や樹脂材料等の部材の調達困難等により、サプライチェーンの逼迫を引き起こしましたが、過去の自然災害時にも経験した問題です。最近では、グローバル社会における自国優先主義や頻発する国際紛争など、国家・経済安全保障の問題もより大きくなっており、これらの問題は、医療機器の安定供給にも重大な課題を提起しています。

パンデミック・自然災害・国際紛争等へ緊急時の備え、そして部材やエネルギー価格・物流コストの高騰等の平時からの備えも含め、医療を止めない、国民の健康をまもるため医療機器のサプライチェーンの強靭化、安定供給の実現には、医療機器の製造から医療機関への流通を含めた各ステージ全体での対応が必要と考えます。

●医療のデジタルトランスフォーメーション
日本政府でSociety5.0の未来社会が提唱されたのが2016年でした。ここで言及されているデジタル社会の到来は、医療においても避けて通れない話であり、DXを如何に迅速に実行できるかが、今後の医療の発展のための最重要課題であると認識しています。医機連としましても、医療データの利活用の検討やサイバーセキュリティへの対応、AIホスピタルプロジェクトへの参画など、様々な取り組みを進めて参りました。

また、プログラム医療機器は国においても成長産業としても期待されており、デジタル領域への参入が目覚ましい異分野企業やベンチャーにも医機連の活動への参加を促すとともに、既存の医療機器メーカーとの間で化学反応を起こし、新たなイノベーションが生まれることも期待しています。

●脱炭素社会の到来
異常気象による災害も年々発生件数が増えており、2050年のカーボンニュートラルの実現にむけ、CO2排出削減に我々医療業界も例外ではなく避けては通れません。また、環境への悪影響が少ない化学物質を使用した製品開発も注目度が増しており、医療機器の製造にあたっての環境への配慮への努力は益々重要になってくると思われます。

●コンプライアンスの強化
我々は人の命に係わる製品を扱っていることから、何よりも高い倫理観が求められます。これまでも医機連では企業倫理に関する講習会や新入社員向けセミナーなど、会員への周知を行なって参りましたが、より一層のコンプライアンスの徹底と再発防止に取り組んで行きます。

医機連は従来から産業ビジョンを策定しております。現在の産業ビジョンは2018年に策定し5年が経過しましたが、昨今の社会環境の変化と科学技術の更なる進展を踏まえ、新たな産業ビジョンが必要と考えており、策定に着手したいと思います。

最後になりますが、我々医機連は、医療関係者の皆様はもとより国民からの期待に応えることにより、社会全体から信頼され支持される団体を目指して参りますので、皆さま方のご理解とご協力を重ねてお願い申し上げます。

                                                      以上